「がんの“未病”考える」
がん医療の現場は当然だが、がん患者の治療が目的である。がんを治療し、根治を目指すことが使命となっている。そのために、画期的治療薬(法)の開発や早期発見できるがんのバイオマーカーの研究が盛んに行われている。
マイクロRNAによるがんの早期発見は、血液を用いるのでリキッドバイオプシーと呼ばれている。極めて感度の高い診断マーカーであるため、マイクロRNAが異常値を示してもCTやMRIでさえも病巣を見つけることができないかもしれない。いわゆる“未病”と言われる状態であり、病気の前兆はみられるけれども病気とは言えない状態を指す。
このような患者に対する処置をどうするか、水面下の戦いがこれから始まる。身体の中にはがんは確かに存在するけれども、病巣がみられない未病を未病のまま天寿を全うさせるという、根治とはまた違った発想の治療法になるのかもしれない。