「動物医療と治験」
わが国の動物医療における新規治療法や新規治療薬の開発は、欧米に比べて遅れている。新規治療薬の最終評価は、「治験」と呼ばれる臨床試験によってその有効性が判断される。わが国の動物医療における治験は、わずかに動物医薬品会社によるものが散見される程度であり、しかもわが国独自のアイデアで開発されたものはほとんどなく、海外からの導入薬の治験が多い。
治験は、会社以外には獣医師主導で行われることもあるが、わが国ではがんに特化した獣医がん臨床研究グループ(JVCOG)など、ごく限られたものしか存在しない。新規治療法・治療薬のアイデアの創出と治験コンソーシアムのシステム作りがわが国の獣医大学に求められている。