動物と人の共生 - ヤマザキ学園大学 比較腫瘍学研究室

新着情報

カテゴリー : 動物医療現場のよもやま話

18.06.04 カテゴリー:動物医療現場のよもやま話

動物医療現場のよもやま話 2018年6月

「動物がん看護の重要性」

ヒトと同じように、寿命が延びるとともに犬や猫のがんは増加している。飼主としてはできるだけのことをしたい、ヒト医療でできることは動物医療でもやってもらいたいという希望がある。そのため、獣医大学附属動物病院など二次診療施設では高度医療が行われている。その反面、高度医療をしても治らないがんの動物たちも少なからずいる。そのような動物たちのためにどのようなことができるのか、これからが「動物がん看護学」の正念場になっている。

18.05.01 カテゴリー:動物医療現場のよもやま話

動物医療現場のよもやま話 2018年5月

「獣医学部獣医保健看護学科と動物看護学部動物看護学科の違いとは」

単に看護分野が学部として独立しているしていないという形式的な問題ではなさそうだ。
 例えば、獣医学部のある日本獣医生命科学大学や岡山理科大学などは、「動物」保健看護学科とは言わずに「獣医」保健看護学科と名付けられている。獣医保健看護学科が獣医学部の中の一学科と位置づけられるということは、あくまで獣医学の補助的分野の印象が強い。すなわち、教育は獣医学科の教員が兼任することが多く、獣医保健看護学生の病院実習は獣医学生の参加型臨床実習とともに実施されている。
 そういう状況に対して、「動物」看護学部「動物」看護学科を標榜しているヤマザキ動物看護大学は、動物看護学の体系化と独立性を推進するトップランナーでなければならない。

18.04.03 カテゴリー:動物医療現場のよもやま話

動物医療現場のよもやま話 2018年4月

「動物看護師は不足している?!」

私の友人や知人の動物病院開業者の多くは、常に動物看護師が不足しており、募集をしてもなかなか応募が少ないと愚痴る。また、動物看護師は短期間でやめてしまうことも多い。引く手数多の職業でありながら、動物看護師不足の現実がある。なぜなのか、これが問題だ!!!

18.03.07 カテゴリー:動物医療現場のよもやま話

動物医療現場のよもやま話 2018年3月

「動物看護系大学附属病院を構想してみよう」

動物看護学の体系化が求められている。動物医療を担う獣医師とそのパートナーである動物看護師、チーム動物医療の両者の役割分担の明確化が動物看護師の独り立ちには不可欠である。動物看護に必要な知識と技術に加えて、社会との関わりを理解し貢献できる人材を育成することが4年制動物看護系大学の使命である。

獣医系大学には附属動物病院の設置が義務付けられているが、動物看護系大学には今のところ義務付けられていない。動物看護系大学における附属病院とはどうあるべきか、その答えがすなわち動物看護学のアイデンティティーを示すものとなる。

18.02.05 カテゴリー:動物医療現場のよもやま話

動物医療現場のよもやま話 2018年2月

「動物看護実践教育の総仕上げは病院実習である」

動物看護系大学は来年度の加計学園岡山理科大学獣医学部動物保健看護学科を加えて9大学となる。動物医療の一端を担う動物看護師の教育は、医師や獣医師と同様に実践力が期待されている。といって卒業後すぐに一人前になることはできない。長年勉強と経験を積んで初めて一人前になるが、社会に出た時の基本的実践力は習得済みであることが求められている。

実践教育については、医学および獣医学教育において改革が行われている。大学における臨床教育の主体は、実際の臨床の知識や技術の習得になるが、手順としてビジュアル教材やモデル、マネキン、シュミレータ等の代替物の活用を経て、通常は大学附属病院で臨床現場の体験実習を行う。
 獣医臨床教育では病院実習の前に実験犬などを使用する実習を行うが、動物の愛護と福祉の観点からその役割と適用は減少している。ヒト臨床教育では“実験人間”なるものは存在しないのに、臨床教育は成り立っている。獣医臨床教育も“実験犬”を使用せずにできるのではないかという発想である。そのためには、病院実習の充実が不可欠であり、卒後研修も重要な役割を果たしている。

動物看護の実践教育も同様で、最終段階の病院実習をどのようにして充実させるかが最重要課題となっている。その意味で動物看護系大学の質の保証は、附属病院の規模と運用に依存することになる。

18.01.10 カテゴリー:動物医療現場のよもやま話

動物医療現場のよもやま話 2018年1月

「獣医師はcureを、動物看護師はcareを考える」

動物医療は獣医師と動物看護師のチームワークで成り立っている。今や動物看護師の数は獣医師の数よりも多く、動物看護師無くして動物医療は成り立たない。がんの診療において、獣医師は常にcureを目指す。Cureを断念した途端に飼い主は動物病院から遠ざかることが多い。本当はがんの進行に伴う痛みや体の不調に対してcareが必要な時期であるのだが。動物がん医療において、終末期を含めたこのような時期こそ動物看護師の役割が期待されている。

17.12.01 カテゴリー:動物医療現場のよもやま話

動物医療現場のよもやま話 2017年12月

日本医師会・日本がん登録協議会共催シンポジウム(2017.11.25)に参加して
患者の参加があって初めて臨床試験や新薬開発は迅速に進む

 動物医療において臨床試験が進まないのは、飼い主の参加がないからではないだろうか。最近、私たちはがん予防試験を実施するにあたって、飼い主参加型の臨床試験を計画したところ、症例の組入がスムーズに進んだ。従前の臨床試験では、獣医師関係団体に幅広い広報活動を行ったが、症例の組入は少なかった。飼い主の希望や後押しをするに値するテーマであれば、飛躍的に物事は進んでいくことを目の当たりにした。

17.11.01 カテゴリー:動物医療現場のよもやま話

動物医療現場のよもやま話 2017年11月

動物医療の目標と限界

動物医療の究極の目標は、今現在において実施できる最善の診療を施すことである。そのため、獣医師や動物看護師は日々研鑽を積んでいる。1頭の病気の動物を丁寧に診ることが基本であり、その積み重ねが最善の診療に近づく唯一の道である。しかし現実は厳しい。最善の診療をしても、がんをはじめとする難治性疾患には現状では打ち勝つことができないこともある。それが動物医療の限界であり、その限界を越えるために基礎研究や臨床研究がある。

17.09.01 カテゴリー:動物医療現場のよもやま話

動物医療現場のよもやま話 2017年9月

動物看護師を国家資格にする

今や獣医大学卒業生の約半数は家庭動物の臨床獣医師として就職する。家庭動物は伴侶動物として位置づけされ、伴侶動物医療には獣医師の数を上回る動物看護師が働いている。獣医師は国家資格であるが、動物看護師はそうではない。現在、動物看護師統一認定機構による認定試験に合格すれば、認定動物看護師の資格が与えられるが、この資格はあくまで民間資格である。この民間資格を国家資格にするには、伴侶動物医療が私的なものではなく、公的な貢献ができることを説明できなければならない。

17.07.01 カテゴリー:動物医療現場のよもやま話

動物医療現場のよもやま話 2017年7月

話題の本:Zoobiquity 人間と動物の病気を一緒に診る 
バーバラ・N・ホロウィッツ、キャスリン・バウアーズ インターシフト発行

最近の動物医療に関するインパクトのある話題である。獣医学を広い視野でみることの大切さ、そのことを獣医師ではない医師から提案されたことに意味があり、われわれ動物医療に関わる者はそのことを深く自覚しなければならない。この本は2014年に日本語訳が発行され、既に3年が経過している。一読をお薦めしたい。